地球が宇宙の中心ではなく、他の惑星と同様に太陽の周りを
公転しているという
地動説が受け入れられるようになったのは16世紀から17世紀にかけてのことである。
太陽系を構成する天体のうち、当時知られていたのは太陽と6個の惑星(
水星、
金星、地球、火星、木星、土星)、地球の衛星である月、そして木星の4個の衛星(
ガリレオ衛星)のみだった。
それから300年ほどの間に、2個の惑星(
天王星、
海王星)、約20個の衛星、数百個の
小惑星が発見された。天王星と海王星の軌道が計算と一致しないことから「
惑星X」の存在が予想され、捜索が始まった。1930年に
冥王星が発見され、第9番目の惑星とされたが、海王星の
摂動を説明するには冥王星の質量が小さすぎる事(後に海王星自体の質量推定を間違えたための計算ミスであったと判明)から「惑星X」の捜索は尚も続けられた。
20世紀終盤からは海王星より外側の
エッジワース・カイパーベルトと呼ばれる
領域で、かつて想定されていた惑星Xほどではないが比較的大きな天体が続々と発見され始めた。冥王星もそれらの天体の一つであるという認識が学界で定説となってきたことから、逆に冥王星を惑星から除外すべきだという提案もされたが、1999年に
国際天文学連合 (IAU) は歴史的な重みを考慮して、「惑星の
地位から格下げは行わない」ことを発表した。この間、更に数十個の衛星、一万個以上の小惑星が発見され、エッジワース・カイパーベルトより外側に
彗星の巣とも言うべき
オールトの雲の存在が予想されるようになった。
21世紀に入ってから発見された
クワオワーや
セドナなどは第10番惑星として報道された事もあるが、いずれも冥王星より小さかったり極端な
楕円軌道だったりするため正式に惑星としては認められなかった。しかし2005年1月に至って、ついに冥王星より大きい
エリス(
仮符号:2003 UB313)が発見された。
2006年8月24日のIAU総会で、惑星の
定義を確定することが議題となった。当初の定義案では
ケレス、
カロン、2003 UB313が新たに惑星とされる可能性があったが、反対意見が多かったことから定義案が改定され、これが採択された結果として冥王星が惑星という分類からはずれ、新しく定義された
準惑星に含まれることとなった。
冥王星は「さいはての惑星」ではなく、
太陽系外縁天体内の新しいサブグループ(
冥王星型天体)の典型例、すなわち「かつて考えられていたよりも遥かに広いことが明らかになってきた太陽系の、新しい領域を代表する存在」と見なされるようになったのである。
日本学術会議は、2007年4月9日の対外報告(第一報告)において前年のIAU総会で決まった新たな分類の日本語
名称を提言し、同6月21日の第二報告で新しい太陽系の全体像を示した。
